2016年6月28日火曜日

本年1月の事業主説明会で行ったアンケート結果について

事業主説明会でのアンケート結果は「年金基金だより」4月号で報告されています。
その内容を整理すると下図のようになります。
新制度に移行したいのか、早期解散したいのか、いずれのニーズも全体の15%程度にしかすぎません。約7割の事業所・加入員がアンケートに未回答または説明会に不参加という状況です。
説明の内容は難しい、分かりにくい、という声もありました。なによりも4割以上の事業所が説明会に不参加です。
これでは基金の”説明不足”、”周知徹底の不足”と言われても仕方ないでしょう。

再問合せ文書に基金から再回答書が届きました。


本ブログの6月15日投稿分(基金から回答書が届きました。その2 そこで次の再問合せ文書が出されました。)に記載の再問合せ文書に、基金・岡常務理事からの再回答書が届きました。
内容は以下の通りです。解説青字表記致します。

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                           平成28年6月23日
株式会社〇〇〇〇
代表取締役 ---様             

                      大阪金属問屋厚生年金基金

                           常務理事 岡

1.現行の特別掛金が貴社の加入員に還元されない、とのご指摘について
(1)今回、貴社と同じ文面により数社から同様のご意見が寄せられました。
(2)しかしながら、基金は解散(後継移行)するまでの間は上乗せ部分の掛金

 (特別掛金を含む)を掛けていただく必要があります。
 それが規約に定められた給付です。
(3)事業所のご意見には、一刻も早く基金を解散して欲しいとのニーズがある

 のと同様に、上乗せ部分を続けて欲しいとのニーズがあることは、本年1月
 の事業主説明会で行ったアンケート結果でも明らかです。
(4)基金と致しましては、双方のニーズに配慮した移行時期を決定するため、
 現在、委員会で検討いただいており、その答申を受けて9月の代議員会で
 決議いただく予定です。
   [解説]再問い合わせ内容への回答になっていません。論点をすり替えています。
    問い合わせのポイントは、①制度継続を前提にした特別掛金負担は”制度自体
    が廃止”になるのでもはや意味がない、②当基金が存続予定している4年間で
    当社加入員が受給者になることはないので、わずかの分配金はあるにせよ、
    ”現在の加入員には還元されない”ことは明らか、という2点です。回答をしない
    (できない)ことはすなわち認めた、ということになります。
    ここで唐突にでてきた「アンケート結果」については、次のブログで解説します。


2.上乗せ部分掛金が、全て受給者への年金給付に消えており、加入員の
 ための積立資産増加に寄与していないとのご指摘について
(1)年金資産は、加入員分・受給権者分とに分別して管理はされていません。
(2)平成26年度の上乗せ部分掛約14億円と給付額約5億円の差額は年金資
 産の増加に寄与しています(H26/3約411億円→H27/3約458億円の一部と
 して)。
 上記の上乗せ部分掛金約14億円のうち特別掛金を除いたものが加入員の
 将来の給付のための原資となっています(同様に数理債務も増加)。
 代行部分に関しては、(中略)厚生年金本体の利回りと同じ運用利回りが
 確保できれば、代行部分については財政上の不足が発生しないことになる
 代行部分の財政中立化が図られています。
   [解説]年金資産は代行部分も上乗せ部分も区分せずに一体で管理しているので、
    前回の常務理事の回答にあった「上乗せ部分の掛金は、加入員が将来受給者に
    なった際に給付する年金の原資として積み立てられ、受給者への年金は既存の
    年金資産から給付されている」という、まるで加入員の資産を別建てにしている
    ような説明は詭弁であることが分かります
    H26年度の資産増加(411億円→458億円、+47億円)に寄与したのは、運用収益
    59億円であり、収支の赤字(掛金収入31億円、給付費用44億円、差し引き▲13億円
    の赤字)がなければ年金資産はもっと増えていました
    収支赤字の原因は代行部分(掛金収入17億円、給付費用39億円、差し引き▲22億
    )にあるので、代行部分を一刻も早く国に返還する、つまり解散を早くするべきです

3.上乗せ資産を積み上げて総合型DBに移行する計画について
(1)平成27年度の財政決算結果を受け、今後の上乗せ資産の積み上がり予測に
 基づく後継制度設計と移行時期を9月の決算代議員会でお諮りし、決議を
 頂く予定です。
(2)小職の判断で記載致しました。このことは上記代議員会でご説明し、決議
 を頂く予定です。
(3)小職の判断で記載致しました。このことについても上記代議員会でご説明
 し、決議を頂く予定です。
(4)昨年11月の代議員会決議で即時の解散が否決された後、平成31年3月ま
 で上乗せ資産を積み上げることが方向性として決議されています。
 但し、あくまで方向性のため、時期などは見直すことがあり得ます。
(5)平成27年度の財政決算結果を織り込んだシミュレーションをお示しするこ
 とにより、代議員の皆さまに決議いただく予定です。
   [解説] 前回の常務理事の回答にあった「計画の達成が困難になった訳ではありま
    せん」、「運用で回復することが困難な金額ではありません」、等々は常務の個人的な
    判断であり、代議員の皆さまには9月までは何も説明しないというお考えであることが
    分かりました。他の数多くの基金では状況に応じて臨時代議員会を開催して状況の
    変化に即応した基金運営を行っていますが、当基金では常務理事の独断専行による
    硬直的な運営であるように見えます。

4.後継制度に関して
(1)受給権者への説明義務は基金にあると認識しています。
(2)後継制度に参加されない場合に消滅するのは「上乗せ部分の年金」である
 と訂正いたします。

5.まとめについて
 何れも小職の意見として記載致しました。
 現状、直ちに臨時代議員会を開催して貴見を図る必要性があるか否かの判断
 については、常務理事に求められる職責の範疇と認識しています。
   [解説] 常務理事の職務は基金規約第36条に次(抜粋)のように記載されています。
    第36条 理事長はこの基金を代表し、その業務を総理するとともに理事会において
       決定する事項以外の事項について決定を行う。
     2 理事長は、前項に規定する業務の一部を常務理事に委任することができる。
     3 常務理事は理事長を補佐し、業務を処理するほか、前項により理事長から
     委任を受けた業務を行う。
    一加入企業の意見などは代議員会に図る必要などない、という判断をすることが
    理事長から委任された”業務の処理”の一部なのでしょうか。まるで苦情処理のように
    見えます。加入企業の意見などは、苦情に過ぎない、、ということでしょうか?

                                 以上
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2016年6月27日月曜日

基金から別の理事に回答書が届きました。②

別の理事の方に来た6月20日付け常務理事からの回答内容は以下の通りです。
要点を抜粋して共有させて頂きます。

なお、1.から4.は他の加入事業所に来た回答と全く同じものです。
※解説を青字で記載します
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 (別紙)                         
               ご回答

                  作成者:基金常務理事 岡 克至

1.現行の特別掛金が貴社の加入員に還元されない、とのご指摘について
(1)特別掛金は、主に基金設立後に発生した後発債務の償却に充てるために
 事業主にご負担をお願いしているものですが、それは、基金が確定給付
 型であるからです。
(2)受給者に対し、規約に定める給付を行うのは一種の契約(約束)であり、
 これは貴社における退職金規程と同じです。
(3)受給者もかつては現役の社員でした。同様に、今いる社員は明日には
 受給者になるのです。従って、特別掛金は加入員の方が受給者になった
 際に還元されるものです。

2.上乗せ部分掛金が、全て受給者(いわゆる親なし受給者も含め)への年金
  支給に消えており、貴社加入員のための積立資産増加に寄与していない
  とのご指摘について
(1)上乗せ部分の掛金は、加入員が将来受給者となった際に給付する年金の
 原資として積み立てられており、一方受給者への年金は既存の年金資産
 から給付されています。
(2)現状の上乗せ部分の年間収支は、掛金額が給付額を上回っているため、
 掛金が受給者への給付に消えているとのご指摘は正しくありません。

3.昨年11月の代議員会決議(上乗せ資産を積み上げて総合型DBに移行す
  る)の計画が、1年目から実績が計画を下回ったことで、実現が困難で
  ある、とのご指摘について
(1)計画は、26~30年度末までの5年間で、当基金の運用利回りが厚年
 本体の財政見通しで示されている利回りを平均1%上回った場合の上乗
 せ資産額をシミュレーションしたものです。27年度が計画を下回った
 からと言って、直ちに5年間での計画の達成が困難になる訳ではありま
 せん。
(2)上記を金額に置き換えると、2,300百万円×(2.91%+1.0%-1.17%)≒
 63百万円となるため、代行資産も含めた450億円の今後の3年間の
 運用で回復することが困難な金額ではありません。
(3)また、上乗せ資産の積み上がりが平成30年度末までにシミュレーショ
 ンを下回る可能性が高いと判断した場合には、後継制度の給付設計を
 修正することになり、そのことについて代議員会で決議していただき
 ます。
(4)年金資産運用は、有価証券で行っている以上リスクがあることは日頃よ
 りご説明しているところです。上乗せ遺産が運用環境により増減するの
 は当然で、そのために30年度末までの期間を設定し、給付内容も時間
 をかけて検討することにしているものです。

4.後継制度では、制度開始時点から特別掛金負担がある、とのご指摘に
  ついて
(1)後継制度への参加を希望される事業所にとっては、自社の加入員・受給
 権者の過去の受給権を守るため、現行よりも短縮した償却期間での特別
 掛金が残ります。
(2)当基金は、財政を再建するため平成25年10月から受給権者の給付減額
 を行いました。大幅な減額であったにもかかわらず大半の受給者の方から
 同意していただけたのは、年金制度を続けて欲しいとのご意思の表れと
 理解しています。
(3)貴社が後継制度に参加されないのは、熟慮の結果と推察し致し方ないと
 受け止めさせていただきますが、現加入員の方とOBの方の年金は消滅
 することになり、その代替策を講じていただく必要があります。
 特に50歳以上の長期勤続者へは、そのことを貴社よりご説明いただく
 ことが必要になります。

5.総合設立のDBである限り、いわゆる親なし受給権者、および資産がシ
 ョートする際に掛金アップや給付削減が発生する、とのご指摘について
(1)後継制度のDBの年金は有期年金に変更するため、特別掛金償却後は
 親なし受給権者が発生することによる財政上の不足は殆ど生じません。
(2)このため、後継制度では特別掛金の償却短縮化を第一義に設計すること
 を検討します。
(※”特別掛金償却後は、、殆ど生じません。”では回答になっていません。
 むしろ、ある理事の指摘「総合設立の確定給付年金方式である限り、
 (中略)、、これまでの基金と同じような混乱が生じる」ことを認めたに
 等しいと言えます。)

6.資産運用状況急変時の対応について
 近く資産運用委員会を開催し、急変時の対応策を協議し、理事長に答申、
 事案の発生リスクを勘案して理事長専決により施行のうえ、理事・代議
 員の皆さまへは文書により報告することを予定しています。
(※この件は、6月23日に代議員に報告が出てきましたので、別途、内容を
 掲載いたします。)

 
7.事業主説明会の開催について
(1)本年1月の説明会後、方向性に関しては(基)分割を見送った旨を文書に
 より事業主に報告しているところです。
(2)当該文書では「今後のことは後継制度の給付設計と掛金負担とのバラン
 スについてもう一度掘り下げて検討を行い、移行時期も含め代議員会で
 意思決定をした後にあらためて事業主の皆さまに説明会を開催する予定」
 とお伝えしており、現在その最中です。
(3)従いまして、現時点で事業主向けの説明会を実施することについては、
 報告するべき内容がないまま、本業で多忙な事業主に集まっていただく
 ことになります。
(4)基金として代議員会で機関決定した内容を報告することが責任ある
 情報開示になり、事業主のニーズにも適うものと考えます。
(※ここで明確になったことは、①半年近くも加入事業所に何らの情報開示を
していないことについて、問題としていないこと、②機関決定したことを報告
すればよいと考えていること、③理事長様ともご協議ください、としているにも
かかわらず理事長と協議していないこと、などで。)


                                 以上
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2016年6月22日水曜日

基金から別の理事に回答書が届きました。


別の理事の方からも基金に早期解散のお願いと意見書を出して頂いてましたが、
昨日、理事長および常務理事から次の回答が届きました。
要点を抜粋して共有させて頂きます。
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                          平成28年6月20日
〇〇〇〇理事殿
                          理事長 児玉直樹
 (中略)
 ご提言に対しては、別紙により常務理事からご回答致しますが、併せまし
て、基金における理事・代議員の役割等について一言確認をさせていただき
ます。

1.基金の方向性については、最重要課題にあたるため、周到に、理事会審議
 を経て代議員会において決議するのがルールです。
2.理事・代議員は、加入員・受給権者・事業主の利益をバランスよく考え、
 忌憚なく意見を述べ、識見をもって決議に参加いただきます。
3.理事長の役割は、様々な意見が活発に出て、より良い決議が導き出される
 よう、あらゆる角度から検討を行い、意見を集約することと認識します。
4.そして理事・代議員は、いったん決議の後は、大きな状況の変化により
 決議を見直す必要がある場合を除き、自身が参加した当該決議を一審不再
 理なものとして、事業主等からの質問に応え、むしろ啓発に至る働きが
 求められるものと思料します。
5.これまでの審議・決定の経過については、代議員勉強会のうえ、
 丁寧に知識が共有されているため、プロセスは適正だったと評価しています。
6.一方、現状が昨年11月の決議を見直す時機にあたるかについては、見方
 の分かれるところです。
7.ついては、今回の貴見と事務局回答を合わせて全代議員に提示のうえ、
 代議員会開催の要否を問うてみてはどうかと考えます。ご異存がなければ
 そのように致しますのでご検討をお願い致します。                                                                                                          
                                敬具
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※内容について補足解説致します。
理事長のお考えはよく分かります。特に6.項、7.項にあるとおり、「決議を見直す時機に当たるかについては、見方の分かれるところ」であり、「全代議員に提示のうえ、代議員会開催の要否を問うてみてはどうか」というお考えは、理事長のお立場として誠に適切なご判断と思います。
ただ、いくつかの点で理事長の見方と有志理事の方々の見方に、やや違いがあるように見えます。それは、次の諸点です。

 2.項;「理事・代議員は、加入員・受給権者・事業主の利益をバランスよく考え、忌憚なく意見を述べ、識見をもって決議に参加いただきます。」 ・・・実際にそうなっているのでしょうか。
 ある代議員の方の意見書(一昨日本ブログに掲載)の中にある次のくだり『私もそうですが、代議員は年金の専門家ではなく、毎回提出される資料を見ても、それが妥当なものかどうかその場では判断がつきません。 数理人および常務理事は真摯に説明頂いていると存じますが、私が出席しめた当初は、質問が発せられることも殆ど無く、議案を通過させるだけの組織でした。』というご意見とはかなり温度差があるように思えます。

4.項;「大きな状況の変化により決議を見直す必要がある場合を除き、、」とありますが、第一基金の上乗せ資産積み上げ計画(シミュレーション①)が初年度から運用利回りは計画値を下回りマイナスとなって計画は下振れしていること、第二基金は信託銀行等の多大な費用負担のために設立困難となっていること、親なし受給権者が全体の約1/3・3千人もいて24億円も必要だということが2月になって分かったこと、等が”大きな状況の変化”ではないのでしょうか。

5.項;「代議員会勉強会」とは昨年8月の代議員勉強会を指すものと思われますが、その際に講師を務めたオーヴァル・リスクマネジメント社と㈱基金運営研究所の講師2名がともに”代行割れスレスレの基金は即時解散が常識”と声をそろえて申し上げていたにもかかわらず4年間継続の方針としたことは、「丁寧に知識が共有された」結果なのでしょうか


※この理事長書信に添付された「事務局回答」の内容は、次のブログ掲載と致します。
一点重要なことは、他加入事業所への事務局回答の最後に【まとめ】として記載されていた「見直しは必要な状況には全くあたらない」、「貴社のご意見を直ちに理事会・
代議員会に諮る必要はない」という内容は削除されています。
理事長が「全代議員に提示のうえ代議員会開催の可否を問うてみて」と仰ってられるのですから、当然と言えば当然のことですが、それはつまり、先の【まとめ】コメントは常務理事の独断専行だったことが明らかになったということかと思います。




2016年6月20日月曜日

ある代議員の方から基金への意見&質問書が出ました。

ある代議員の方から「今後の基金運営に関して」という意見&質問書が出されています。
その要旨は以下の通りです。皆様と情報共有させて頂きたいと思います。

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           「今後の基金運営に関して」

理事会、代議員会に毎回出席させていただき、私なりの感想と今後の提案を
述べさせて頂きます。

問題と感じる点

    313月の改正法における期限まで、継続することが前提であること
代議員会の決議で決まったこととはいえ、分割案が実現不可能となった今、
金銭的なタイミングを見計らうのではなく、即時解散希望企業の意見をしっ
かりと汲み取って欲しいと思います。
新制度へ移行しない企業にとって現在の掛金が意味あるものとは思えません。

    受給者への配慮が大き過ぎる
 多くの受給者を抱える企業が多いことは存じています。しかしながら弊社の
ように受給者よりも加入者が多い企業があることもまた真実です。
 解散議論が高まった当初から、数理人および常務理事から事あるごとに
「受給者への配慮」「受給者からの訴訟リスク」という言葉を聞いてきました。
 私にとっては非常に違和感のある説明で、財源の無い基金が最悪加入企業
の連鎖倒産というリスクを背負ったまま、受給者に配慮し続けることなどあり
えません。
 「受給減額をお願いしたその直後に」という言葉もありましたが、受給者のた
なら加入企業および加入員は路頭に迷うことも辞さない姿勢と感じました。

    代議員の限界
 私もそうですが、代議員は年金の専門家ではなく、毎回提出される資料を
見ても、それが妥当なものかどうかその場では判断がつきません。
 数理人および常務理事は真摯に説明頂いていると存じますが、私が出席し
めた当初は、質問が発せられることも殆ど無く、議案を通過させるだけの
組織でした。
 その後、小数ですが危機意識をもち始めた方から幾つか質問も出るように
なりましたが、基金の仕組みを理解できていない方も多く、同じような質問が
毎回出て、その度に振り出しに戻るような印象を受けました。
 代行部分と上乗せ部分の判別も付かないような素人集団が、数百億円に
上る運用の判断をしていることこそが最大のリスクです。

質問とお願い

1.  特別掛金について
 過去赤字債務の穴埋めを長期に渡る掛金で行うもので、現役社員には全く
還元されない、との認識でおります。
 標準掛金より遥かに高い率で掛けているにもかかわらず、現役社員の将来
給付が増えるわけでもない。
 解散をすれば、受給者の扱いはさておき、特別掛金の支払義務は消滅する。
 よって現役社員の将来給付を(少なくとも今よりは)手厚くすることができる、と
考えています。
 また特別掛金拠出の原資は現役社員の労働によって得た利益であり、これが
現役社員の利にならないとすれば説明の仕様がありません。
 もし基金制度を維持する事が現役社員の利である、ということであれば、解散し
特別掛金をDB等でプールしていけばより多くの利になるのではないでしょうか?

2.  受給者への配慮について
 上述もしましたが、あまりにも受給者に配慮し過ぎと感じます。現受給者が自ら
積み立てた年金ならともかく、代行割れ発生段階では減額は当然、給付が続く
ことさえ異常に思います。
 給付停止が受給者の同意を得る必要がないことからも、受給者を優先的に
配慮し続けることが適当とは思えません。

3. 加入企業の意思尊重
 一旦は基金分割→解散の方針決議がなされ、これがスムーズに進めば問題は
ありませんでした。
 しかしながら、分割が不可能となった今、今一度現状について説明を行い、
加入企業の意向を尊重することが責任ある運営と思います。
 規約上は代議員会が意思決定機関ではありますが、即時解散を主張する
代議員がいるのであれば、双方の立場から現状説明を行い、加入企業の意思を
決定してもらう時期に来ていると思います。

 先日の伸銅品組合における勉強会でも、即解散したいという事業主が多数おら
れました。即時解散し、有志企業で新制度をはじめれば、双方にメリットが出ると
思いますが違うでしょうか?
 受給者への説明は脱退側の企業がそれぞれの受給者へ個別に行えば良いと
思います。
 少なくとも加入企業への(双方の立場からの)再説明と意向調査(できれば、
「即解散か継続かどちらとも言えない」の選択肢は外して)は即行うべきです。
 その意向調査の結果をもって、再度後継制度の設計と解散タイミングの早期化を
議論すれば、より実態に近いものなるのではないでしょうか?

 
以上、お忙しい中、長々と申し訳ありませんが、今後の基金運営の一助としたく、
ご回答よろしくお願い申し上げます。
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基金から同じ回答書が届きました。

6月15日に掲載した「基金からの回答書」が、別の加入事業所(社名は伏せさせて頂きます)にも届きました。同じ内容ですが、以下のとおり再掲致します(回答部分のみ)。
即時解散の要請書を出して頂いた他の加入企業に皆様にも同じ回答が届くことになるかと思います。

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(別紙)             
ご回答
                   作成者:基金常務理事 岡 克至

1.現行の特別掛金が貴社の加入員に還元されない、とのご指摘について
(1)特別掛金は、主に基金設立後に発生した後発債務の償却に充てるために
 事業主にご負担をお願いしているものですが、それは、基金が確定給付
 型であるからです。
(2)受給者に対し、規約に定める給付を行うのは一種の契約(約束)であり、
 これは貴社における退職金規程と同じです。
(3)受給者もかつては現役の社員でした。同様に、今いる社員は明日には
 受給者になるのです。従って、特別掛金は加入員の方が受給者になった
 際に還元されるものです。

2.上乗せ部分掛金が、全て受給者(いわゆる親なし受給者も含め)への年金
  支給に消えており、貴社加入員のための積立資産増加に寄与していない
  とのご指摘について
(1)上乗せ部分の掛金は、加入員が将来受給者となった際に給付する年金の
 原資として積み立てられており、一方受給者への年金は既存の年金資産
 から給付されています。
(2)現状の上乗せ部分の年間収支は、掛金額が給付額を上回っているため、
 掛金が受給者への給付に消えているとのご指摘は正しくありません。

3.昨年11月の代議員会決議(上乗せ資産を積み上げて総合型DBに移行す
  る)の計画が、1年目から実績が計画を下回ったことで、実現が困難で
  ある、とのご指摘について
(1)計画は、26~30年度末までの5年間で、当基金の運用利回りが厚年
 本体の財政見通しで示されている利回りを平均1%上回った場合の上乗
 せ資産額をシミュレーションしたものです。27年度が計画を下回った
 からと言って、直ちに5年間での計画の達成が困難になる訳ではありま
 せん。
(2)上記を金額に置き換えると、2,300百万円×(2.91%+1.0%-1.17%)≒
 63百万円となるため、代行資産も含めた450億円の今後の3年間の
 運用で回復することが困難な金額ではありません。
(3)また、上乗せ資産の積み上がりが平成30年度末までにシミュレーショ
 ンを下回る可能性が高いと判断した場合には、後継制度の給付設計を
 修正することになり、そのことについて代議員会で決議していただき
 ます。
(4)年金資産運用は、有価証券で行っている以上リスクがあることは日頃よ
 りご説明しているところです。上乗せ遺産が運用環境により増減するの
 は当然で、そのために30年度末までの期間を設定し、給付内容も時間
 をかけて検討することにしているものです。

4.後継制度では、制度開始時点から特別掛金負担がある、とのご指摘に
  ついて
(1)後継制度への参加を希望される事業所にとっては、自社の加入員・受給
 権者の過去の受給権を守るため、現行よりも短縮した償却期間での特別
 掛金が残ります。
(2)当基金は、財政を再建するため平成25年10月から受給権者の給付減額
 を行いました。大幅な減額であったにもかかわらず大半の受給者の方から
 同意していただけたのは、年金制度を続けて欲しいとのご意思の表れと
 理解しています。
(3)貴社が後継制度に参加されないのは、熟慮の結果と推察し致し方ないと
 受け止めさせていただきますが、現加入員の方とOBの方の年金は消滅
 することになり、その代替策を講じていただく必要があります。
 特に50歳以上の長期勤続者へは、そのことを貴社よりご説明いただく
 ことが必要になります。

【まとめ】
1. 上述の通り、現状は、第123回代議員会決議を抜本的に見直し、基金を
  即時に解散することが必要な状況には全くあたらないと判断致します。
2. 従いまして、今回の貴社のご意見を
直ちに理事会・代議員会に諮る必要
  はないと判断致します。
                                 以上
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2016年6月16日木曜日

平成28年度運用実績(5月末速報値)の報告

5月末時点の運用実績(速報値)の報告がありました。
主なポイントは次の通りです。
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*運用実績(速報値)
<通期ベース> 4月   5月
 代行部分  -2.91%  0.79%
 全体合計  -0.43%  0.30%

※GPIF(国)との比較
<通期ベース> 4月   5月
基金代行分  -1.78%   0.48%
国(GPIF)    -1.33%   0.72%
運 用 差     -0.44%  -0.24%

4年間積み上げ計画では運用差+1.0%を前提にしていますが、
今年度2か月累計時点では、逆に負けている状況にあります。

2016年6月15日水曜日

基金から回答書が届きました。その3

基金からの回答書の内容と、それに対する再問合せ書の内容の解説を
以下のとおり申し上げます。

現行の特別掛金が当社加入員に還元されない」ことについて;
基金回答は特別掛金の一般論を述べているにすぎません。制度継続を
前提にした負担ですので、制度が廃止するとなったからには、無意味です。
また、現時点の加入員が数年内に受給者になることはほとんどありません。
数年内に退職して受給者になった方も、基金から受給できる期間は僅か
数年です。
法改正で制度廃止となっているということを前提にすべきではないでしょうか。


.「上乗せ部分掛金が全て受給者への年金給付に消えており、
加入員の積立資産増加に寄与していない」ことについて:
年金資産が区分管理されていない、ということが厚年基金制度の構造的な
問題であることは、年金分野の関係者では常識です。
平たく言えば、お金に色がついていないので、代行部分の収支赤字全て
の新規資金がつぎ込まれていることは、誰でもわかることではないでしょうか。


3.「上乗せ資産を積み上げて総合型DBに移行する計画」について:
過去の代議員会でも議論されていないことが(昨年の代議員会の議事録
は加入企業・加入員であれば、だれでも閲覧できますので、ご興味あれば
基金事務所で閲覧してください)、あたかも決定事項であるかのような
説明表現になっているので、それは誰の判断なのかをまず再確認するべきか
と思います。当然ですが、判断には責任が伴います。


4.後継制度に関して:
まず受給権者に対する支給義務(債務)は基金自身が負っていることを
明確にしたうえで検討・議論をすべきです。受給権者に対する説明義務は
基金(公法人)自身にあります。


【まとめ】に就きましては、回答を見て驚いたのですが、当基金の
常務理事さんには強大な権限があるかのような印象を持ちました。
たかが一加入企業の言うことなど、理事会や代議員会には上げられないよ、
ということなのでしょうか?!

基金から回答書が届きました。その2

そこで次の再問合せ文書が出されました。(ポイントになる部分を
青太字で表記しています)



大阪金属問屋厚生年金基金
常務理事 岡 克至 殿
(写し 理事長 児玉直樹殿、各代議員殿)

   当基金の即時解散お願いに関するご回答について

前略
時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は当基金の運営
業務等に格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。
さて、平成28610日付にて児玉理事長よりご連絡頂きました
標題の貴ご回答内容について、以下の点に就きましてさらにご回答
賜りますよう、お願い申し上げます。

現行の特別掛金が当社加入員に還元されない」ことについて;

(1) 特別掛金が基金設立後に発生した後発債務(過去勤務債務)の
償却、平たく言えば基金運営の結果によって発生した積立不足の
穴埋めのために負担しているもので、それは確定給付型年金基金を
継続するには必要であることは重々承知しております。

(2) 弊社が申し上げているのは、基金制度の継続を前提にした
特別掛金負担は、“制度自体が廃止”となることを考えると、
もはや意味がないということです。

(3) また、現実に、当基金が存続予定している向こう4年間で当社
加入員が当基金の受給者になることはないので、“現在の加入員
には還元されない”ことは明らかです。もちろん即時でも4年後でも、
基金が解散した後に、残余財産があれば加入員にも分配されますが、
加入員約9千人、受給権者約11千人、合計約2万人に分配しますので、
当社加入員に分配される額は、ゼロではないでしょうが、支払った
特別掛金額に比べると僅かの額になります

(4) ですから、正確に申し上げれば“現在の加入員にはほとんど還元
されない”ということではないでしょうか。
そのため、制度廃止が決まっている以上は、特別掛金負担を一刻も
早く停止してほしい、ということです。
これは、当社に限らず他の多くの加入企業・加入員の方々にとっても
同じ事態ではないかと存じます。他の加入企業からの同様の声がある
のではないでしょうか、この点も併せてご確認下さい。



.「上乗せ部分掛金が全て受給者への年金給付に消えており、
加入員の積立資産増加に寄与していない」ことについて:

(1) “上乗せ部分の掛金は、加入員が将来受給者となった際に給付する
年金の原資として積み立てられており、一方受給権者への年金は既存の
年金資産から給付されています”とのご回答ですが、それはつまり、
加入員の将来給付のための原資積立と、受給者に給付する原資である
年金資産は、区分して管理されているということでしょうか。
また、それは具体的には、H27/3決算の積立金(時価)458億円のうち、
それぞれの金額は幾らなのかご回答ください

(2) “現状の上乗せ部分の年間収支は、掛金額が給付額を上回っている
ため、掛金が受給者への給付に消えているとの指摘は正しくない”との
ご回答ですが、では、具体的には、平成26年度の上乗せ部分
(代行分以外)掛金14億円と受給者への上乗せ部分給付5億円の差額、
9億円の資金がどこに残っているのでしょうか
上記(1)と関連しますが、加入員のための原資積立が9億円増えて
いるのでしょうか。そうであれば、加入員分原資積立額の増加前後の
金額をご確認下さい。
その一方で、代行部分掛金17億円と受給者への代行部分給付39億円の
差額▲22億円は、どこから出ているのでしょうか
受給者に給付する原資である年金資産からであれば、その収支前後の
金額もご回答ください。



3.「上乗せ資産を積み上げて総合型DBに移行する計画」について:

(1) 1年目から実績が計画を下回っていることは事実です。その上で、
計画達成が困難かどうか、今後3年間の運用で回復することは出来る
のか、これらの判断はどなたの責任で行うのか、ご確認下さい

(2) 「代行資産も含めた450億円の今後の3年間の運用で回復することが
困難な金額ではない」というのは、どなたの見解・判断でしょうか
岡常務の個人的な見解・判断でしょうか、あるいは理事会・代議員会の
全体での見解・判断でしょうか。ご確認ください。

(3) また、「上乗せ資産の積み上がりが平成30年度末までにシミュレー
ションを下回る可能性が高いと判断した場合には、後継制度の給付
設計を修正することになる」というのは、理事会・代議員会の決定
事項でしょうか、どなたのご判断なのでしょうか。ご確認ください。

(4) 「上乗せ資産が運用環境により増減するのは当然で、そのために
30年度末までの期間を設定し、給付内容も時間をかけて検討することに
している」とは、理事会・代議員会の決議事項なのでしょうか。
上記の(2)(3)と併せてご確認ください。

(5) 一般的な経営感覚として、計画立案したが初年度から下振れした
場合には、計画自体を見直すのが当然のことと存じます。
初年度のマイナスを2年目以降で取り戻そうとしてさらに高いリスクを
取ると逆にマイナスが拡大する危険性があるのは申すまでもありません。
この点について、基金運営責任を委託されている理事・代議員の皆様の
お考えは如何でしょうか。ご確認ください。



4.後継制度に関して:

(1) 最初に確認させていただきたいのですが、現在の基金の受給権者に
対する年金給付義務は基金自身が負っているのであり、各加入企業が
給付義務を負っているものではありません
受給権者の給付に必要な積立金相当の掛金は、各加入企業は既に基金に
支払い済みです。したがって、基金の受給権者については、かつて勤務
していた事業所が現在も基金に存続しているかどうかにかかわらず、
受給権は基金に対して発生しているもので、加入事業所とは直接の
権利義務関係はないと存じますが如何でしょうか。ご確認ください。

(2) 平成25年からの給付減額についても、受給者と基金自身の間の
給付義務&受給権についての減額同意を実施したものと了解いたします。

(3) 当社の加入員については、長期加入者であれ短期加入者であれ、
当社との労働契約の下で勤務している従業員なので当社内で対応する
ことは当然です。
OBについては、当基金と本人の間の権利義務関係ですので、
基金にてご対応をお願いします
また、“現加入員の方とOBの方の年金は消滅”と言われますが、
基金から支給される代行分年金は国に返還されて継続されますので、
“年金は消滅”という表現は誤解を招きがちです。
正確には“上乗せ分年金は消滅”ですので、訂正をお願いします。


【まとめ】に就きまして、ここに記載の2項目はどなたのご判断で
しょうか。「見直しは必要な状況には全くあたらない」、「貴社の
ご意見を直ちに理事会・代議員会に諮る必要はない」というご判断は、
岡常務理事のご判断でしょうか。
理事会・代議員会に一加入事業所の意見を図る必要はない、ご判断
される権限をお持ちなのでしょうか。あるいは、これは理事・代議員の
皆様の総意なのでしょうか、ご確認ください。

以上に就きまして、早急にご回答賜りますよう、お願い申し上げます。

                          草々

基金から回答書が届きました。

ある加入事業所(社名は伏せさせて頂きます)から、基金宛に「基金の即時解散のお願い」要請書(要請書ひな型はこちら→ http://oval-rms.com/daikin2016060103.pdf )を出していたところ、基金からの回答書が届きました。 
回答書の内容と、それに対する次の問合せ内容(基金にさらに問い合わせを行う予定です)を下記致します。

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株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇 様
                       大阪金属問屋厚生年金基金
                          理事長 児玉 直樹
          ご依頼事項について

拝復 当基金の運営に平素より多大なご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、拝受しましたご依頼状に対し、別紙のとおりご回答申し上げますので
ご高覧をお願い致します。
 当基金と致しましては、本件のような重要な事項につきましては、規約に
定める通り、理事会での審議を経て代議員会において決議しています。
 代議員は、加入員・受給権者・事業主を代表する者として、忌憚なく意見
を述べ、知見をもって決議に参加している現状です。
 そして理事長である私の役割は、様々な意見が活発に出て、より良い決議
に至るよう、あらゆる角度から検討を行い、意見を集約することであると
認識しています。
 貴職よりいただきましたご意見につきましては、上記のことに資するもの
と受け止め、今後の運営に活かしてまいりたいと思います。
 今後ともご理解とご協力を賜りますようお願い致しましてお礼かたがた
ご回答致します。
                                敬具

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
                                                                                                       No.1
(別紙)             
ご回答
                   作成者:基金常務理事 岡 克至

1.現行の特別掛金が貴社の加入員に還元されない、とのご指摘について
(1)特別掛金は、主に基金設立後に発生した後発債務の償却に充てるために
 事業主にご負担をお願いしているものですが、それは、基金が確定給付
 型であるからです。
(2)受給者に対し、規約に定める給付を行うのは一種の契約(約束)であり、
 これは貴社における退職金規程と同じです。
(3)受給者もかつては現役の社員でした。同様に、今いる社員は明日には
 受給者になるのです。従って、特別掛金は加入員の方が受給者になった
 際に還元されるものです。


2.上乗せ部分掛金が、全て受給者(いわゆる親なし受給者も含め)への年金
  支給に消えており、貴社加入員のための積立資産増加に寄与していない
  とのご指摘について
(1)上乗せ部分の掛金は、加入員が将来受給者となった際に給付する年金の
 原資として積み立てられており、一方受給者への年金は既存の年金資産
 から給付されています。
(2)現状の上乗せ部分の年間収支は、掛金額が給付額を上回っているため、
 掛金が受給者への給付に消えているとのご指摘は正しくありません。


3.昨年11月の代議員会決議(上乗せ資産を積み上げて総合型DBに移行す
  る)の計画が、1年目から実績が計画を下回ったことで、実現が困難で
  ある、とのご指摘について
(1)計画は、26~30年度末までの5年間で、当基金の運用利回りが厚年
 本体の財政見通しで示されている利回りを平均1%上回った場合の上乗
 せ資産額をシミュレーションしたものです。27年度が計画を下回った
 からと言って、直ちに5年間での計画の達成が困難になる訳ではありま
 せん。
(2)上記を金額に置き換えると、2,300百万円×(2.91%+1.0%-1.17%)≒
 63百万円となるため、代行資産も含めた450億円の今後の3年間の
 運用で回復することが困難な金額ではありません。
(3)また、上乗せ資産の積み上がりが平成30年度末までにシミュレーショ
 ンを下回る可能性が高いと判断した場合には、後継制度の給付設計を
 修正することになり、そのことについて代議員会で決議していただき
 ます。
(4)年金資産運用は、有価証券で行っている以上リスクがあることは日頃よ
 りご説明しているところです。上乗せ遺産が運用環境により増減するの
 は当然で、そのために30年度末までの期間を設定し、給付内容も時間
 をかけて検討することにしているものです。


4.後継制度では、制度開始時点から特別掛金負担がある、とのご指摘に
  ついて
(1)後継制度への参加を希望される事業所にとっては、自社の加入員・受給
 権者の過去の受給権を守るため、現行よりも短縮した償却期間での特別
 掛金が残ります。
(2)当基金は、財政を再建するため平成25年10月から受給権者の給付減額
 を行いました。大幅な減額であったにもかかわらず大半の受給者の方から
 同意していただけたのは、年金制度を続けて欲しいとのご意思の表れと
 理解しています。
(3)貴社が後継制度に参加されないのは、熟慮の結果と推察し致し方ないと
 受け止めさせていただきますが、現加入員の方とOBの方の年金は消滅
 することになり、その代替策を講じていただく必要があります。
 特に50歳以上の長期勤続者へは、そのことを貴社よりご説明いただく
 ことが必要になります。


【まとめ】
1. 上述の通り、現状は、第123回代議員会決議を抜本的に見直し、基金を
  即時に解散することが必要な状況には全くあたらないと判断致します。
2. 従いまして、今回の貴社のご意見を直ちに理事会・代議員会に諮る必要
  はないと判断致します。

                                 以上
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2016年6月8日水曜日

大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
◆これからの活動◆

6月1日の自主勉強会の最後に、加入企業の皆さんがご自身の責任でご判断された結果として、基金の将来性についての”意見表明”をされることをお奨めしました。
具体的には、下に掲載するひな形をご参考にして頂いて、基金宛(代表者・理事長あて)に早期解散の要請書をお出しになっては如何でしょうか、としました。
要請書のひな型はこちらです。→  http://oval-rms.com/daikin2016060103.pdf

また、基金事務局宛には、説明会開催報告として、当日使用した資料一式(本ブログで解説しているものです)をお送りするとともに、当日の質疑(主なものとして)を次のように取りまとめて、伸銅品問屋組合の方から報告されています。

説明後の質疑(主なもの)
 1 なぜ事務局の人が説明に来ないのか
   宮原さんの説明は理解できるが基金事務局の説明も同時に聞いて矛盾点
   見解の相違など差異を確認しないと正しい判断がしにくい
 2 基金分割解散ができないなら一体どうすればいいのか。平成31年まで待てない。
 3 親なし受給者がこんなに多いこと、なぜ11月の決議前に公表しなかったのか
   それが分かっていたら何も分割解散議案というステップ取ることはなかった。
 4 昨年11月17日の議案2の早期分割解散が不能になったのなら、
   再度、解散希望事業主の数と意向を確認し方向を修正すべきだ。
 5 一体、何社、何人が新しい後継制度の企業年金に移行するというのか
   人数によって事務費負担や特別掛金の償却も大きく変わるはず。
   そのシミュレーションを事務局は即時に出すべき。
 6 後継制度の給付と負担のバランスについて、代議員は精査したのか。
 7 他の組合に属する事業主への説明の予定は。


また、即時解散のお願い ひな形(上に掲載のもの)も、基金には提出し、
「今後各事業主からひな形のような依頼の書類が事務局経由で理事長まで郵送
されることが予測されます。あらかじめ連絡しておきます。」
というコメントが付記されています。

今後の動向なども、都度、本ブログに掲載して皆様と情報共有を図りたいと存じます。
資料② 大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
*補足説明資料*【その4】
資料②はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf

2.後継制度の問題点③  (右下頁7頁目)
後継制度の設計(案)ですと、新DB制度に加入する社員にとっては、30年未満で
退職すると、その間に会社が基金に支払った掛金総額よりも少ない一時金額しか
もらえないという、いわゆる『赤字給付』になってしまいます。
その原因は何でしょうか?
制度開始の時点から積立不足があることで特別掛金を負担することがその原因です。
年金制度を継続するのだから、”受給権保全”のためには仕方ないのだ、という考え方もあると思います。基金内部の検討段階では、受給権を保全しないと訴訟リスクもある、とのご意見もありました。
自主勉強会では、当社(200以上の基金を研究し関与している)の見解として、次の2点を表明いたしました。
   1)法改正施行から2年経過し200以上の基金が解散した時点で、受給権者の
     受給権を満額保全して解散した基金はゼロ。
   2)受給権者からの受給権保全に関する訴訟事例は、これまでゼロ。
むしろ、解散すれば受給権は一旦解消するので、後継制度の設計自由度が生まれることから、基金解散を選択した基金が大半です。
こんなことは、当基金の受託機関であるみずほ信託銀行さんであればご存じのはずですし、同じみずほ信託銀行さんが受託機関である他基金の解散事例も多々あります。

また、今回の第2基金検討の過程で判明した”親なし受給権者”の問題もあります。
上乗せ債務がH27/3月時点で143億円あるうち、親なし受給権者の分は24億円必要です。その不足分を穴埋めして受給権を保全するために負担するのが特別掛金ということです。
お金に色はついていませんが、この特別掛金を支払うときの原資(財源)は、加入員(現役社員)たちが稼いでくれる毎期の事業利益の中から捻出するものです。
会社(社長)としても、頑張ってくれているわが社の社員のために、と思って掛金を積み立てているつもりではないでしょうか。
ところが、そのうちの一部は他社の退職者への年金給付に使われて、わが社の社員には還元されない、と分かったら、、、、それでも後継制度に加入しますか?


3.方向性再考のポイント  (右下頁8頁目)
これまでご説明申しあげたとおり、大事なポイントは次です。
①早期解散して代行分を早く国に返還する方が資産の安全確実な確保になる。
(国の運用に必ず勝てる、という保証はありませんし、負けると資産は目減りします。現にH27年度は負けました)
②後継制度では、30年以内に退職する加入者には赤字給付になる。そんな制度に加入するのでしょうか。

では、私達はどうすればいいのですか、何ができるのですか、、、加入企業の皆さんの心の声にお応えします。
”基金”とは皆さん自身です。誰が悪い、彼が悪い、といっても何も始まりません。
自分たちの責任で状況を理解して、自分たちの責任で将来方向性を判断し、その判断を、皆さんが選んだ代議員の方々にきちんとお伝えして、各理事・代議員の皆さんに基金としての決定のご判断を要請することが、皆さんに出来ることです。

先日の自主勉強会も、またこのブログを通じての情報提供・共有も、誰かを非難したり、批判したりするためではありません。基金の構成員である加入企業・加入員の皆さんが自分たちの責任として基金問題をとらえて、考えて頂くためのものです。
その点で、当社が少しでもお役に立てれば幸いです。


資料② 大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
*補足説明資料*【その3】
資料②はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf

2.財政シミュレーションから     (右下4頁目)
基金継続(4年間で上乗せ資産を70億円に積み上げる)案の根拠になっている
財政推移シミュレーションの解説です。
(昨年10月付で代議員の皆さんに配布された資料の抜粋→資料③こちらです http://www.oval-rms.com/daikin2016060105.pdf )

繰り返しになりますが、毎年14億円の新たな資金拠出をしているにも関わらず、
上乗せ資産の増加はその新規資金分をした回る、という見方の検証です。
ここに記載されているように、毎年の上乗せ資産増加額が、新規拠出資金分を
下回っていることが一目瞭然です。
それでもいいのだ、基金は継続するべきだ、と判断された代議員は32名
(昨年11月代議員会議案1で「基金を続ける」に賛同した人数)おられた、
ということです。皆さん、当然、この資料も見ておられますし、簡単な計算も
されたうえでのご判断、ということでしょう。


3.後継制度の問題点①  (右下5頁目)
次に、基金が検討している解散後の後継制度について解説します。
「受給権者保全パターンごとの掛金水準比較」として、
※4年後に上乗せ資産が70億円まで回復した場合の掛金水準、があります。
その前提となっている4年後・上乗せ資産70億円、の財政状況は次です。
(シミュレーション1でのH30年度末財政)
  年金資産①      474億円
  最低責任準備金②   404億円
  最低積立基準額③   544億円
  上乗せ資産①-②    70億円

ここから、解散後の後継制度(DB確定給付年金)の移行時点の財政バランスが
次のとおりであることが分かります。
  年金資産①'    70億円  (上の①-②、上乗せ資産額)
  数理債務②'   140億円 (上の③-②、上乗せ分債務額)
つまり、制度スタート時点で、70億円の積立不足を抱えています。

そこで、特別掛金の出番です。(特別掛金とは積立不足の穴埋めのための掛金で
将来の年金給付には反映されない、ということは当ブログでも解説した通りです。)
後継制度の設計内容(案)を見てみましょう。

後継制度の【掛金設定】は、現行基金との比較も含め次のように記載されています。
モデル;20歳加入、給与30万円、40年加入(60歳退職)、利率2%
            現行         パターン①
         <厚生年金基金>     <受給権保全>
移行時資産
<残余財産>           70億円
------------------------------------------------------------------------------------------------
受給権  加入員(将来期間・過去期間)   全て保全
     受給権者(待期者含む)      全て保全
------------------------------------------------------------------------------------------------
掛金  標準掛金     0.4%      0.8%(+0.4%)
    特別掛金     2.4%      2.0%(△0.4%)
   [償却期間]    [17年償却]     [9年償却]
------------------------------------------------------------------------------------------------
 掛金計         2.8%      2.8%(±0.0%)

さらに、【給付設計】は次のようになっています。
          現行制度     DB移行後
------------------------------------------------------------------------------------------------
年金(年額)    12.9万円(終身)  50.9万円( 5年確定)
(40年加入)              26.7万円(10年確定)
                  18.7万円(15年確定)
                  14.7万円(20年確定)
------------------------------------------------------------------------------------------------
現行制度では一時金給付はありませんが、後継制度(DB)では一時金
給付(年金に代えて)も選択できます。一時金モデル額が次です。
------------------------------------------------------------------------------------------------
    加入期間   一時金額(退職時)
     10年      39.8万円
     20年      88.3万円
     30年     147.5万円
------------------------------------------------------------------------------------------------

さてここで、電卓片手に計算してみましょう。
ケース1;20歳で入社(=DB加入)したA君が、10年後30歳で退職の場合;
 標準掛金総額 月額給与30万円×0.8%×10年=28.8万円
 特別掛金総額    〃    ×2.0%× 9年=64.8万円
             →  掛金総額     93.6万円
    A君がDB基金から貰う一時金額    39.8万円
 ⇒ 給付額 39.8万円 - 掛金総額 93.6万円 = ▲53.8万円

ケースS;20歳で入社(=DB加入)したB君が、20年後40歳で退職の場合;
 標準掛金総額 月額給与30万円×0.8%×20年=57.6万円
 特別掛金総額    〃    ×2.0%× 9年=64.8万円
             →  掛金総額    122.4万円
    B君がDB基金から貰う一時金額    88.3万円
 ⇒ 給付額 88.3万円 - 掛金総額   122.4万円 = ▲34.1万円

ケース3;20歳で入社(=DB加入)したC君が、30年後50歳で退職の場合;
 標準掛金総額 月額給与30万円×0.8%×30年=86.4万円
 特別掛金総額    〃    ×2.0%× 9年=64.8万円
             →  掛金総額    151.2万円
    A君がDB基金から貰う一時金額   147.5万円
 ⇒ 給付額  147.5万円 - 掛金総額  151.2万円 = ▲ 3.7万円

(実際には標準掛金は0.8%→1.0%になるようですが、ここでは0.8%で計算しています)
あれれ、、、10年でやめるA君も、20年でやめるB君も、30年でやめるC君も
みんな、会社が掛けた掛金よりも少ない一時金しかもらえない、ということ?!

そうです。これが後継制度(新DB基金)の概要で、代議員会資料に記載されて
いる内容です。           
資料② 大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
*補足説明資料*【その2】
資料②はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf
1.資金の流れ     (右下3頁目)
もし、下のタンク(代行分)がなかったら、、、、こうなります。
掛金収入14億円、上乗せ給付5億円、差し引き9億円の黒字!
水を”市場”で売り買い運用しなくても、安全確実にたまります。
下のタンクを国に返すのが『解散』ですので、早く解散した方がいいというのはこういうことです。
市場で運用しない、ということはH26年度のように運用収益59億円で資産が増える、ということはなくなります。しかしH27年度(H28/3末)は△3.06%のマイナス運用で約△12億円も資産が減る、という事態も避けることができます。

「4年後に上乗せ資産を70億円に増やす」というシミュレーション(すでに初年度から下振れして、シミュレーションは破たんしていますが)は、基金の運用利回りが国の利回りよりも+1%上回るという前提のものです。
国(GPIF;年金積立金管理運用独立行政法人)は130兆円もの資産を日本のトップクラスの連中が運用しているのに、信託銀行にお任せでそれ(国の運用)よりも1%勝てると思うことが理解できない、、、、金融機関出身のある社長のコメントです。

資料② 大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
*補足説明資料*【その1】
資料②はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf
補足説明資料は勉強会当日に参加者の方々に配布したものです。
資料①を補足するために、資金の流れ、後継制度の問題点などを説明しました。

1.資金の流れ  (右下頁数 2頁目)
資料①全体構造図(2頁)で説明した掛金31億円・年金給付44億円・基礎収支▲13億円、の関係をもう少し詳しくみるとこうなります。

真ん中にあるのが二階建ての貯水タンクのイメージです。下の大きなタンクは”代行債務”のタンクで436億円の水が入ります。
上の小さなタンクは”上乗せ分債務”で143億円の水が入ります。
しかし、実際に水は459億円しかないので、下のタンクは満水ですが上のタンクには23億円分しかありません。(上のタンクの底は抜けていて、水はすべて下のタンクからたまります)

左側矢印は入ってくる水を、右側矢印は出ていく水を表します。
左側から注水(掛金収入)しています。下のタンクに17億円(代行分掛金)、上のタンクに14億円(上乗せ掛金)、合計31億円入れました。
右側は出ていく水(年金給付)です。下のタンクから39億円(代行給付)、上のタンクから5億円(上乗せ給付)、合計44億円出ていきました。このままですと、31億円入れて、44億円出ていく、差し引き▲11億円減ることになります。

しかしタンクの水には「運用」という仕組みがあります。タンクの中に入れっぱなしではなく、”市場”に出して売り買いすることで増やすことができます。H26年度は運用で59億円の収益を上げてその分だけ水が増えました。ただし”市場”に出すには手数料が必要なので1.7億円を払っています。

これが当基金の資金の流れです。結局、資産増加(水かさを増やす)は運用頼みであることが分かります。
もう少しよく見ると、基礎収支赤字▲11億円の原因は、代行部分(下のタンク)の赤字▲22億円にあります。なんと、掛金収入31億円はすべて下のタンクの給付分39億円に消えています。
であれば、下のタンクなんか無い方が水は早くたまるのではないでしょうか?
次の頁を見てください。 (続く)

2016年6月7日火曜日

資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その6 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

7.喫緊の課題;方向性の再考  (8頁目)
これまでの説明でお伝えしたように、昨年11月の代議員会で決議した基金分割(第1基金、第2基金)の方針が、現実的には成立しなくなっています。
第1議案の「H31/3月に上乗せ資産70億円まで積み上げる」シミュレーションは初年度で下振れして実現困難(シミュレーション1は破たん)です。
第2議案で検討した分割案も、第2基金がコスト面で設立断念し、さらに受給権者分の扱い次第では第1基金も第2基金も代行割れの可能性があると判明しました。
ですから、ここで改めて方向性を再考するべきではないでしょうか。

これまで理事会・代議員会という基金内部機関での検討を重ねてきましたが、残念ながら意見が一致しないままになっています。一方では、200社を超える加入事業所には予定していた4月の説明会も延期しており、情報公開・説明が滞っている状態にあります。このような状態を放置するのは、基金の運営責任や説明責任上、非常にまずいのではないかと思います。
そこで、理事会・代議員会で公表されている資料内容は、ありのままに一般の加入事業所にもお伝えして、それぞれの判断の一助にしようというのが、今回の自主勉強会の趣旨であり、また本ブログで資料&説明をオープンにお伝えする理由です。
なお、自主勉強会には基金の常務理事さんにもご参加いただくことをご案内・要請したのですが、固辞されましたので今回の勉強会では基金側の説明を同時に聞くことはできませんでした。

続いて、勉強会資料②のご説明を致します。 (続く)


資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その5 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

5.第2議案(分割&早期解散案)  (6頁目)
基金分割して第2基金を設立し、早期に(H29/3月)解散することを希望する、その理由をまず説明します。

このブログの資料①【その1】でも説明していますが、現在加入企業・加入員の皆さんが負担している基金掛金(全体で約31億円)の中身は次のようになっています。

掛金合計31億円  代行分 17億円 (国の厚生年金保険料一部の代行徴収分)
        上乗せ分   3億円 (基金の上乗せ分給付のための積立掛金)
        特別掛金 11億円 (基金運営上の過去の赤字を穴埋めする掛金)
※この特別掛金とは、過去の赤字穴埋め分なので、加入員(現役社員)の将来の年金給付には還元(反映)されません

過去の赤字穴埋め分の負担を、現在の加入員にツケ回しているのは早くやめてほしい、というのが第一点目です。
特別掛金は事業主が拠出していますが、その原資は社員が稼ぐ収益ですから社員から見れば、自分たちの稼ぎを他人(しかも他の会社のOBがほとんど)に回すのはやめてくださいよ、となります。

次に、いずれにしても現在は加入企業で代行分(厚生年金保険料分)以外に、年間合計約14億円(上乗せ分3億円+特別掛金11億円)もの新規資金を拠出しているので、せめて新たにつぎ込む金額分くらいは上乗せ資産が増えてしかるべきではないでしょうか。
4年間続けるとしたら、14億円/年×4年=56億円もの新規資金をつぎ込むのですが、その結果として上乗せ資産(積立金)は、23億円から70億円に増える、、、あれれ、47億円しか増えてないじゃないですか!
56億円をつぎ込んでも、47億円しか増えない、、、!?? その差額9億円減少??
だったら、すぐに解散してゼロスタートした方が、23億円+56億円=79億円になるので、その方がいいのではないですか?これが第二点目です。

このことに気がついた加入事業所の方々は即時解散を希望したのです。基金分割して第2基金に分かれれば、4年間待つこともなく、H29年3月には解散できる、ということでした。


6.第2議案(分割解散案)の現実  (7頁目)
基金分割後の第2基金設立を、設立準備委員会で検討したのですが、新たに別の基金を立ち上げるとなると、たとえ短期間だけでも(いずれすぐに解散するので)基金運営コストは相当額に上ることが分かりました。主なものは、信託銀行の費用が1600万円、システム会社に2900万円などでした。まず、コスト面で第二基金設立は難しい、となりました。

さらに、もっと大きな問題が判明しました。
上乗せ資産(代行割れ解消)が約23億円あるというので、それを第1基金と第2基金でどう切り分けるのか、という検討になったときに、上乗せ資産は加入員・受給権者の上乗せ給付のための積立金なので、加入員・受給権者は第1基金と第2基金とにどう分かれるのか、が検討課題になりました。
加入員は事業所がどちらに行くかで振り分けられます。では、受給権者はどうするのかとなったときに、事業所に紐づけする(出身事業所がどちらに行くかで決める)ことが考えられますが、中には事業所がない”親なし受給権者”がいることがここで分かりました。
しかも”親なし受給権者”(出身事業所が既に脱退した、または廃業・譲渡・倒産などで基金には残っていない)は約3,100人もいて、もし親なし受給権者に必要額を支払うとすると約24億円も必要になるので上乗せ資産23億円では全く足りない、そうなると第1基金も第2基金も代行割れになってしまう、、、と分かりました。

つまり、基金の上乗せ部分の必要額(最低積立基準)は143億円であり、上乗せ資産23億円といっても、全体の不足額は▲120億円もの巨額である、という事実です。
143億円の必要額のうち、受給権者分は95億円(その中に親なし受給権者分24億円がある)で、加入員分は48億円という割合であることもわかりました。

となると、そもそもの方向性が無理だったのではないでしょうか、、






 
資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その4 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

3.第1議案(4年間継続案)  (4頁目)
ここで、第1議案で「基金を続ける」(上乗せ資産を70億円まで積み上げてH31/3に解散&新制度移行する)という説明の根拠になった”上乗せ資産70億円”の前提を説明します。
昨年7月に代議員会資料として提供された「平成27年3月期決算の状況および後継制度の設計(案)について」の中に記載されている「今後の財政推移見通し」で、今後4年間の財政推移見通しシミュレーションがあります。
そこでは、次の3つのケースでのシミュレーションが提示されています。

【シミュレーション1】 基金利回りが、「厚生年金利回り」+1%
【シミュレーション2】    〃   「厚生年金利回り」と同率
【シミュレーション3】    〃   「厚生年金利回り」▲1%

基金の財政状況は、基金の資産運用利回りが、国の運用利回りに対してどれだけ勝つか負けるかで、変わってくるということです。
そして【シミュレーション1】「厚生年金利回り」+1%で推移;の場合、平成30年度末(H31/3月末)で上乗せ資産が約70億円まで積み上がる見込みとなっています。
因みに【シミュレーション2】「厚生年金利回り」と同率;では上乗せ資産は50億円、【シミュレーション3】「厚生年金利回り」▲1%で推移;では上乗せ資産は32億円、となっていました。

以下に、上乗せ資産の推移を抜粋します。 (単位;億円)
   <年度末上乗せ資産>   H26   H27   H28   H29   H30
 【シミュレーション1】    23     34   45   57   70
 【シミュレーション2】    〃   29   36   43   50
 【シミュレーション3】    〃   25   27   29   32


つまり最も楽観的なシミュレーションで”上乗せ資産70億円"になる、ということです。

では、シミュレーション作成から1年後の現在、現実はどうなっているでしょうか。
次の5頁目をご覧ください。


4.第1議案(4年継続案)の現実  (5頁目)
平成28年4月28日の代議員会でH27年度(H28/3月期)の決算推計が報告されました。
純資産は432億円、代行債務は403億円ですので、差し引きの代行割れ解消額(上乗せ資産)は29億円と推計されています。
この数字(上乗せ額29億円)は、上のシミュレーションに当てはめてみると、シミュレーション1の34億円を下回り、シミュレーション2の29億円に当てはまります

つまり、第1議案の前提になっている楽観的シミュレーションは1年目から下振れしており、これではシミュレーション1の実現は困難なのは明らかで、破たんしている、といってよいと思います。

資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その3 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

2.これまでの経緯 (3頁目)
ここでは、現在の方針を決定した昨年11月17日の第123回代議員会での決議内容を確認します。

「議案1 基金の方向性」では、次の2つの選択が示されました。
①基金を今のまま続ける。法改正では5年以内の解散となるので、5年間を使って上乗せ資産を積み上げて、その後に新しい企業年金(確定給付;DB)に移行する。
②即時に解散する。
⇒採決(理事長を除く代議員39名)の結果、①に32名、②に7名、となりました

議案1の結果をふまえて、「議案2」の選択肢が提示されました。
①H31/3月を目途に解散して、希望事業所のみで企業年金(DB)に移行する。
②基金を分割し、解散希望事業所はH29/3月を目途に解散、移行希望事業所はH31/3月を目途に企業年金(DB)に移行する。
③厚生年金基金のまま存続する。
⇒採決の結果、①に10名、②に28名、③に1名、となりました。

この内容を解説しますと、議案1で基金方向性について意見が分かれた→70億円まで積み上げて継続したい事業所とすぐにでもやめたい事業所があることが分かりました。
そうなると、「やめたい事業所を、多数決だからといって4年間も負担継続を”強要”する」ということはいかがなものか、となります。
そこで、議案2・基金分割です。事業所によって考えが違うことを尊重して、それぞれに違う道を歩むことにしよう、という考えです。

考え方が違うのだから互いに別の道を歩んでいこう、という意味合いで賛成した方もいれば、なかには、解散解散とうるさい連中には出て行った貰えばいいじゃないか、という意味合いで基金分割に賛成した方もいた、、、そんな雰囲気だったそうです。

いずれにしても、基金分割(第1基金、第2基金)の方向性を決議して、昨年11月20日付で事業主の皆様に理事長名でのお知らせが出されました。


ここでご参考までですが、当社(オーヴァル・リスクマネジメント)ではこれまで200を超える厚生年金基金に関わっておりますが、基金分割の事例は1件だけです(東京都電機厚生年金基金;昨年分割実施、第二基金は解散済み)。
では他の多くの基金では代議員会で意見がまとまらない時にはどうしたのでしょうか。
当基金のように、新制度移行して上乗せ継続したいという意見とすぐにでも解散したいという意見に分かれて、継続派と解散派に分かれることはよくあります。
その場合どうしているのか、、、次の手順が一般的です。
(1)事業所に方向性・新制度内容を説明し、加入事業所の意向調査をする、
(2)新制度加入を希望する事業所数・加入員数を基準に新制度の詳細設計を行う、
という手順です。

つまり、新制度(企業年金DB)の設計内容(掛金額や給付水準設定)がどうなるかは、新制度に何社の加入企業・加入員数がいて、一方で何人の受給権者を抱えるか、によって設計内容が変わってくるからです。

ちなみに、受給権者(退職者・OB;親なしの方も含めて)が、新制度(企業年金DB)に移行できるかどうかについては、”新制度内容に受給権者本人が同意すれば、出身事業所が新制度に加入してもしなくても、新制度に移行できる”ことになっています。親なし受給権者でも同様です。(この点については、別基金の案件で、すでに厚生労働省・厚生局から”書面確認”を得ています。)

さて、そこで当基金の場合ですが(資料3頁目下段を見てください)、今年の1月に事業主説明会を実施して、方向性と新制度の設計(案)を説明されています。
その上で、アンケートによる事業主意向調査の結果、新制度移行に賛同する加入企業は34社、加入員数では1,470名、であることが判明しました。
つまり、第1基金に参加表明しているのは34社・1,470名、ということです。
これで、第1基金が成り立つのでしょうか?70億円まで上乗せ資産は積み上がるのでしょうか?
 (続きは次回に)

2016年6月6日月曜日

資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その2】 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

1.全体構造図 (2頁目をご覧ください。右下に頁数があります):
2頁目の下半分には、当基金のH27/3決算での積み立て状況を図表化しています。

左側の二段重ね四角形は、資産の状況を表します。
黄色部分は「純資産」459億円。基金がH27年3月末で実際に保有している年金積立金額です。
その上の緑色部分は「特別掛金収入現価」116億円です。これは、現在事業主が負担している特別掛金(年間約11億円)の向こう15年分負担合計額を現在の価値(現価)に引き直したものです。実際に116億円があるわけではなく、向こう15年で事業所の皆さんに払っていただく特別掛金の総額が今の金額に換算すると116億円相当である、ということです。基金から見ると、事業主の皆さんから受領する権利がある金額、ということで資産の部に計上しているわけです。

右側の二段重ね四角形は、負債の状況を表します。
下の黄色部分は「代行債務」436億円。基金は国の厚生年金を代行給付していますが、その厚生年金部分の将来給付(受給権者10,400人と加入員9,400人に対して)を保全するために必要な現時点での積立額は436億円、ということです。基金が解散して国に代行部分を返上(返還)する時には、この代行債務に相当する積立金(純資産)を満額で国に返還することになります。
「純資産」が459億円あるので、国の代行債務分436億円を返還しても差し引き23億円が残ります。ですから代行割れ(資産が代行債務を下回る状態)を解消し、+23億円超過しているということです。
その上に乗っている緑色の四角部分は、基金の上乗せ分給付を保全するために現時点で必要な金額で「数理債務」と呼びます。これが83億円となっています。つまり、上乗せ分年金の将来給付(受給権者10,400人と加入員9,400人に対して)を保全するために必要な現時点での積立額は83億円ということです。
さらにその上に薄紫色の四角形で「剰余金」56億円、となっています。これは、左側の資産の部に計上されている金額(純資産459億円+特別掛金収入現価116億円=575億円)と、右側の債務の合計額(代行債務436億円+数理債務83億円=519億円)との差額で、56億円が剰余金として計上されているものです。これで、左右の箱の高さがそれぞれ575億円でバランスするということです。

さて、ここで数理債務(緑色の四角形)から点線矢印で右下に引っ張って「最低積立基準・数理債務」143億円、と記載しているものを見てください。H27/3決算で「数理債務」83億円と計上しているものがなぜ143億円になるのでしょうか。このカラクリはこうです。数理債務83億円の計算のもとになっているのは予定利率5.5%という数字があります。毎年5.5%の利回りで運用できるとすると現時点で83億円あれば上乗せ年金の将来給付分は賄える、ということです。
しかし、5.5%という高い運用利回りは非現実的です。そこで厚生労働省から一つの計算基準として2.5-2.6%の予定利率で計算し直すことが要求されています。5.5%よりも低い2.5%-2.6%利回りで再計算した数字が「最低積立基準」での数理債務というもので、これが143億円というわけです。将来の上乗せ年金給付額は決まっていますので(=確定給付)、運用利回りが低い分だけ、現時点で必要な積立額は増える、ということです。
つまり現実的な利回りで再計算すると、上乗せ分の債務額は143億円に膨張し、代行債務436億円と併せて合計579億円になります。これでは、資産の部(純資産459億円+特別掛金収入現価116億円=575億円)<負債総額579億円、となるので、現実的には▲4億円の不足となっているのが実態です。

もう一つ、注目すべきなのは、「最低積立基準・数理債務」143億円の内訳です。
上乗せ分年金の将来給付(受給権者10,400人と加入員9,400人に対して)の保全に必要な金額が143億円ですが、その中身を分解すると、受給権者分95億円、加入員分48億円となります。しかも、その受給権者分95億円のなかには、”親なし受給権者”分24億円が含まれています。
代行割れ解消・超過分が23億円あるといっても、その金額では、親なし受給権者の分(24億円)すら賄えない、ということが判明しました。
つまり、現実的には143億円の上乗せ分必要額に対して、わずか23億円の資産しかない(積み立て割合は16%;23億円÷143億円)、差し引き120億円の不足状態である、という現実が判明したわけです。
さらに、当基金は加入員からも上乗せ分掛金を徴収していますが、基金解散の場合には加入員拠出分(合計7億円)はまず拠出者(加入員)に優先返還しますので、残る資産は16億円(23億円-7億円)とさらに小さくなります。

以上が当基金の全体構図と財政の実態です。
3頁目以降の解説は、次に。